「翔、ズルイ!」 「は?何でそうなんの」 強く張った声とは裏腹に 翔の手を握った。 「いいの!私がズルイって言ったらズルイって認めなさい」 「フフッ何それ、ムチャ言うなよ」 私と手を繋いでいないもう片方の手で 上品に口元に手を持っていき 翔が静かに笑う。 だから! その仕草もズルイんだってばっ! よく、漫画とかで見る男の人が 「理性を保てない」とか言うけど 私ってば正にそんな感じ。 「翔のバカ…」 「あぁ…ごめんごめん」 私の気も知らないで 翔は私の頭を優しく撫でた。