「え、何ですか?」

「んー?
こっちのが楽でしょ?」


と言って慶太さんも椅子を倒して
寝っ転がる


あ、何だ びっくりした
襲われるかと思った


「有希ちゃんっ」

「はいっ?」


呼ばれて振り返る


チュッ──


──えっ?

なに?


「かわいい~」


と言ってまた頭を撫でてくる


キスされた?

彼氏いるの知ってて──…


どんどん手が伸びてくる


手慣れた感じで胸を触っていく


「そういうことしちゃ
だめなんですよ?」


冷静に手を追い払う


「だよね~」


そう言ってたばこに火をつける


「ごめんね
つい手出ちゃって

もう戻ろっか」


そう言って慶太さんは
車を出した


「ほんとごめんね」


しょぼんとした顔で言って
また頭を撫でてきた


「いいよ」


ちょっとむかついたけど
しょぼんとした顔が様になってて
ついつい許してしまう


ヤれれば誰でもよかったのかな
彼氏いるの知ってて手出すって
やっぱりヤりたかっただけだよね
手慣れてたしね…
よくヤるんだね


慶太さんのイメージが変わっていく
第一印象のクールなイメージは
もうなくなっていた

チャラ男って感じ

かっこいいし女ならたくさん寄ってくるだろうし

女の扱いがうまくて
きっと騙される人はいっぱいだろうなあと思うと

そのうちの1人になりかけたかもしれない自分が
嫌になって虚しくなる