あと30分か…。
俺、特技なんてねぇし。
しいて言うなら、亜矢の好きなところを10個以上言える事?
亜矢にどんだけ惚れてんだよ、俺。
「三上はなににすんの?」
俺は隣で立っている三上に話し掛けた。
「え?…あ、あたしは…ピアノとかいいかな…なんて…」
「へぇ…ピアノ弾けるんだ?
すげぇな」
「い、いえ…小さい時から習ってて…特技ってわけじゃないんですけど…。
でもやっぱり…ミスコンなんて…」
「何言ってんだよ。
俺なんて、何も…」
「光輝!!」
突然聞こえたのは、ここにいるはずのないあいつの声。
俺は後ろを振り返った。
「…は?亜矢?
お前、熱は?」
そこに立っていたのは、朝、俺のベッドで辛そうにしていた亜矢だった。
俺も、三上も、周りのヤツらみんなア然としていた。
「なんか、もう全然元気になっちゃった。
エヘヘっ」
「エヘヘじゃねぇよ。
熱、本当に大丈夫なのか?」
「うんっ!もうめちゃくちゃ元気だよ。
ちょっと寝たら熱下がっちゃった♪
ミスコン、10時からだったからまだ間に合うかなと思って」


