館長が叫び声をあげた時には舞里は俺の腕の中で眠ってしまった。



「お休み、舞里。さぁ、帰ろうか。」



俺は意識を失った舞里を抱き上げた。




館長は驚いてすっかり言葉を失っている。




「すみません。驚かせてしまいましたね。私、ゴーストと言います。」




そう言い館長に頭を下げる。



「え…あ…あの…あなた…」




「今日のところはこれで帰らせていただきます。彼女が眠ってしまったので。」



俺はそう言うと舞里に目をやった。月明かりで長い睫毛が頬に影を落とし、首もともあらわになり普段よりも一層色っぽかった。



俺は沸き立つ欲望を感じた。


今日はお預けをもらったために余計だ。




「この名画はまた後日盗みに来ますので、その時まで。」


そう言い窓際まで行きまた振り返った。



「あ、そうそう…彼女と僕の関係は秘密にしておいてくださいね、お嬢さん。」



俺は帽子を取り、ウィンクしてそこから飛び降りた。