家に入ると、強引に火の所へ連れていかれ
「ここで温まっていろ。」
と一言言われ、彼は隣の部屋へ行った。
(あの男が寝静まったら、絶対に魂を奪ってやるわ。何しろ1ヶ月も何も食べていない状態なんですから!)
すると、男が戻ってきて手に持っているおぼんと着物を彼女の前に置いた。
「悪いが、飯はこんなものしかない。それから着るものも、俺は男の一人暮らしだから、女物はないから俺ので我慢してくれ。」
「あ、ありがとうございます・・・」
「ブカブカだろうけどな。」とすまなそうに言う彼。
雪女は受け取ると、ご飯を食べ始めた。
「どうだ、上手いか?」
「え!?・・・えぇ。」
「あ、そうだ。お前、名前は?」
「な、名前・・・ですか?」
雪女は困りました。
名前などないのですから。
「名前はありません。」
雪女は俯きながら言いました。
すると彼は
「だったら俺がつけてやる。」
「・・・あなたが?」
またもや、驚かされた彼の一言に彼女は顔を上げた。
「不満か?」
「え・・・いえ・・・」
とりあえず、仲をこじらせるわけにはいかないので、雪女は首を横に振った。
「それじゃぁお前の名は、雪子だ。」
「雪子・・・?」
「あぁ。雪の中にいたから、雪子だ。いい名だろう?」
「はい。・・・ありがとうございます。」