「功一さん・・・・・」



真っ暗な闇の中



静かに聞こえた声────




あぁ、結維だ。




きっと不安な顔をして僕を見ているんだろうね。




そう思って目を開けようとしてもなかなか上がらない目蓋。




「結維・・・・・・・」



そう呟くと手に暖かな温もりを感じた。




結維が手を握っていてくれている。



「功一さん・・・・・・」




この声を聞くだけで自然と心穏やかになる。




でもね


本当は家には来ないでほしかったんだ。



結維にうつしたくなかったし、来られたらずっといてほしいと思ってしまう。




現にさっき言ってしまった。




医者であっても、風邪には適わない。