｢恋かぁ…｣



｢こんばんは。｣



こんな時間にお客さん？



｢はい、いらっしゃ…あ、神田さん！こんばんは。いらしてくれたんですね。｣



急いで振り向くとそこには一週間前と変わらずスーツを着ている神田さんがいた。



｢うん、約束したからね。それに今日は欲しい花があったんだ。｣



あたしを見た後に花を見て言った。



｢え、なんの花ですか？｣



｢シクラメンを一輪。｣



神田さんはシクラメンを一輪取ると私に差し出した。



スーツを着ているせいもあるけど、とても様になっていてちょっとドキッとしてしまった。



｢あ、はい。｣



恥ずかしくて急いで目を反らし、レジに持っていった。



顔が熱い……。



｢ここには沢山の種類の花を置いているんだね。｣



店の中を見渡しながら神田さんは言った。



｢はい。種類がたくさんあったほうがお客様の好みの花が見つかるだろうって、店長が。｣



｢へぇ、いい店長さんだね。｣



神田さんは感心した様子でもう一度店を見渡した。





｢それじゃぁ、また来るよ。｣



そう言い、車に乗り花を助手席に置くと窓を開けて手を振り、走り去っていった。