「はぁ……はぁ…」



無我夢中で走っていた。



どうしても今、会いたい…



どうしても今、伝えたい…



今じゃなきゃ…



そんなことを思いながら必死に走った。



息が切れても足が疲れても神田さんの家に向かって走った。






ここだ……



神田さんのマンションの前。



あとは部屋に行くだけ…でも…ここに来て緊張してきてしまった。



手には神田さんにあげたい花がある。



(つべこべ言ってても仕方ない!行こう。)



そう決心して、また走った。






何も連絡もしないで来てしまった。



(いくら神田さんでも怒るかな…?)



少し躊躇ったけど、私はチャイムを鳴らした。



「あの……結維です。」


「結維ちゃん?どうぞ、入って。」



ガチャッ



「突然すみません。」



「ううん、結維ちゃんならいつでも歓迎するよ。」



神田さんはいつものように優しく微笑んでくれた。