「君を奇麗だと思わない男なんていないと思うけどな。」



神田さんは腕を組んで考えるような顔をした。



私は何だか可笑しくなって笑ってしまった?



「え?何かおかしい?」



「あ、いえ…。ただあなたは女性が欲しい言葉を知っているんだなって思って。」



自分で言って何だか悲しくなってきた。だって、それって女慣れしてるってことでしょ?



「知っていたわけじゃないよ。君に、結維ちゃんに伝えたいと思ったから僕は言ったんだよ。」



そう言うと、神田さんはさりげなく微笑み食事を進めた。




――――……



「今日はとても楽しかったよ。誘ってくれてありがとう。次は僕に誘わせてね。」



「私もとても楽しかったです。次回も楽しみにしています。」



私がそう言うと、神田さんはおやすみと言い残し車で走り去っていった。


《伝えたいと思ったから》



さっき言っていた言葉が頭の中で繰り返される。



「伝えたい…気持ち。」



「結維、入るよ。」



部屋でボーッとしていると真実姉が入ってきた。



「今日はどうだった?楽しかった?」



お風呂からあがったところみたいで、手にはバスタオルがあった。



「うん、とっても楽しかったよ。」



私はニッコリ笑って真実姉に言った。



「……何か悩み事でもあるんじゃない?」



「えっ?」



「結維が考えてることなんて私には筒抜けよ。ほら、話してごらん。」