「ありがとうございましたぁ!」



ドアの前でお辞儀をして大きな花束を抱えて帰るお客様を送る。



決して大きくはないけれどこの町には十分な花屋さん。



小さい頃からお花屋さんになることが夢だった私にとってお店の大きい小さいは関係ないしね。



「結維―!外で何してるのぉ?早くお花並べるわよ!」



「あ、はーい!!」



お店の先輩、真実さんに言われ、急いで戻る。



「そこのカーネーションをこっちに持ってきて。で、向こうの霞みそうはも少し右。」



「はいー」



真実さんはとても仕事の出来る人。その上綺麗だし、とっても優しいの。



「いらっしゃいませー!」



「あのぉ、予約をしていた―…」



だんだんお客さんも来始めて忙しくなる時間帯。



それでも笑顔を絶やさずお客さまに振る舞うのが私たちの仕事。



でも時にそれは逆効果になる場合も…



「真実さぁん、これ「お客さま!止めてください!」



私が真実さんに頼まれた花を裏から取ってくると、お客さまが真実さんに抱きついていた。



「俺、ずっと前からあんたのこと見てたんだ。初めて見た時から好きだったんだよ!!頼む、付き合ってくれ!」



どうやらそのお客さまは告白をしに来たらしい。



今はお客さまがあまり来ない時間帯。よく知っているなぁと感心しながらも、私がどうしようと、おろおろしていると




「お客さまそれは出来かねます。」



そこに救世主が現れます。



「誰だよ、あんた。」



「僕はここの店長をしています。」



「店長!?はっ!店長は店員の恋愛にも首を突っ込むのかよ?」



お客さまの方は一歩も引く気がなく、店長に言い放ちます。



「いいえ。彼女はただの店員ではありません。僕とはこういう関係なんです。」



そういうと店長は真実さんを抱き寄せキスをした。



お客さまは驚いて、目がどび出ていた。