「恭平ー!」
明るく透明で綺麗な女の子の声が聴こえる。
それも、恭にいの名前――。
……見なければよかったのに、
……引き返せばよったのに、
その声の正体を、
恭にいの視線の先にいる人を、
見てしまった私はバカだったんだ……。
「美柚……。」
私の名前じゃなく、初めて聞く名前を口にした恭にいは、私の見たことのない笑顔を浮かべてた。
恭にいの見つめる先にいた子は、ここら辺では有名な女子高の制服を着た可憐で大人っぽい女の子だった……。
まさか……、ウソだよね…?
「あ、奈津希、紹介するよ。一緒に来て。」
ニコニコ笑う恭にいは、私をその子の元へ連れていく。
やだよ、恭にい……。
何でこんなに鈍感なの?


