「いらっしゃいませ」

いつもの調子で言う。

ここは私が営む喫茶店「tea」の店内だ。

「郁ちゃん! 来ちゃった!!」

また来た。 言いたいが声には出さない。

「ここにお座りください。」

「郁ちゃぁん!!  お仕事疲れちゃった!!  なでなでして!!!」

「あほ。」

パシンッといつも通りこの馬鹿の頭を叩く。

「いったぁぁい・・・ 酷いよ・・・ 郁ちゃん・・・。」

この馬鹿は水谷雅人(みずたにまさと)

そして私はここの女マスター水音郁(みずねいく)

実は雅人と私 同居しているのだ。