「ねぇ、ねぇ。あれ見て」


美波が窓から指を指して言った。



「どうしたの?」



「雫ちゃん、結城先輩と話してるよ!」


窓の外に目を向けると、雫が笑顔で誰かと話していた。


あ…。あれが“結城先輩”なんだ。


初めて見た結城先輩は、噂通りカッコよかった。


髪の毛は明るくもなく、暗くもない、茶色。


瞳は、見たもの全てをうつし出すような漆黒の色。



きっと。

人を引き寄せる力があるんだろう。

私は単にそう思った。





「でも、どうして雫ちゃんがここにいるの?」



あ、確かに。


雫は中等部で、ここは高等部。