−先輩へ
この手紙を読んでいる頃には私はもう先輩の前にはいないんですね。

先輩に逢ってからもう一年も経つんですね。なんだか昨日のことのような感じがします。

病気の事が分かったのは私が生まれてすぐだったそうです。

前に先輩には今のうちにやれることをやっておこうと思ったって言いましたよね。でも本当は違うんです、私表だけやっているようなふりして心の中ではいつも病気のせいにしてどこか本気でやってませんでした。
どうせ自分は人より早く死ぬんだからって…
だから恋なんかしちゃいけないんだって。

そんな時先輩に逢ったんです。先輩はかっこよくて何にでも一生懸命で、すごい憧れました。先輩が付き合わないかって言ってくれたときは本当に嬉しかったんですよ。先輩の事を考えたら付き合っちゃいけないんだってわかってるつもりでした。でも抑え切れなくて…
先輩に病気の事隠していてとても罪悪感で一杯でした。でもばれたらきっと先輩は離れていっちゃうって思うとどうしても言えませんでした。

そんな迷いながら過ごしているうちに突然発病しました。もう先輩の前にはいられないと思いました。でも先輩はこんな私がいいと言ってくれました。私じゃなきゃダメだって言ってくれました。

すごいうれしかったです。ありがとうございます。私に生きる希望をくれて。私にとって先輩が全てでした。

先輩、私に縛られないでくださいね。先輩が他の誰かといることより私に縛られて独りでいるのを見る方が辛いんです。でも私のこと忘れないでくださいね。

まだまだ言いたいこと一杯あるけど書ききれません。
最期にこれだけは言わせてください。私にとってこの一年間、先輩と一緒にいるときだけが私にとって生きていると言える時でした。先輩、私の分まで生きてください。本当に愛しています。−