「ないよ…別れる気なんか。俺はお前に逢えて初めて誰かの事を愛しいと思えたんだ」

「私…もう寝てることしかできないんですよ、先輩にしてあげられることなんてもう何もないんですよ」

「あるよ…お前がいるだけで、俺はただそれだけでいいんだ。だからもう離れるなんて言わないでくれ、病気でもお前はお前だろ、俺にはお前がいなきゃダメだ、病気の事は俺にはよくわかんないけど、お前の辛さは俺にはわからないかもしれないけど…そばにいたい」

あいつは溜めていた涙を流し出した。雫となった涙がポタポタ落ちた。

「俺、半年後の県大会で優勝して全国大会に必ず出るから、お前も最後まで諦めないでくれ、希望を捨てないでくれ!」

「先輩…こんな私で…いいんですか?」

「さっきも言っただろ、お前じゃなきゃダメなんだ」

「ありがとうございます、先輩…愛してます」

「俺もだ」

あいつはまだ泣いていた。俺はそんなあいつの口にそっとキスをした。

目を開けるとあいつは泣きながら笑っていた。