「いっつもココアねえ」

と言いつつも、楽しげに用意する美那さん。

「だって美那さんのココア美味しいもん」

と言って、僕は隣の椅子に鞄を置いた。

このカフェは、正直繁盛してない。

だけど僕みたいな常連もいるし‥‥。

隠れ家的なカフェ、としてちょっと有名。

お昼時は、普通に人が来る‥‥らしい。

いつも綺麗に掃除されてる。

なんか甘い匂いがする。

オレンジ色のランプは暖かで。

居心地が良い。

少なくとも、僕にとっては。

基本、この時間は僕だけ。

そりゃ4時48分なんて言う微妙な時間。

学校が終わって来る頃には、いつもこの位。

帰宅部の僕は、大体この時間。

みんなが遊んだり勉強している間、

僕は美那さんと談笑してる。

カランコロン、とドアが開く。

誰‥‥?

珍しい。

いつもなら誰も来ないのに。

「あら、那月」

な、つき?

誰、それ‥‥

くるり、と振り向くと、美那さんにどこか似た

イケメンがいる。

栗色の髪はひょこひょこハネている。

端整な顔立ち。

高い背。

暖かな雰囲気の美那さんと違って‥‥

クールなイメージ。

でもなんか似ている。

「ああ、アスカちゃん紹介するわ」

ありがたい。

「私の弟の、名取 那月よ」

‥‥え

「弟ぉ!?」

僕は思わず叫んでいた。