「あー……それでハーミル君、そろそろ本題に入らせて貰うよ?」
ハーミル、と呼ばれたロビンの父は恐縮しながら頷いた。
物腰は丁寧な村長だが、醸し出す雰囲気はとげとげしい。
だが今年五十を迎えた村長は、流石に一人でこの村の全てを切り盛りして来ただけあって、無駄な事は何一つ口に出さず、きびきびと紹介を始めた。
「――では、ジオンさん。今更で申し訳ないが、ロビン君の紹介はさっきしたね? では此方(こちら)、この村で唯一医者をして頂いている、このロビン君の父親のハーミル君だ」
初めまして、とハーミルは言った。
「そして此方が皇都から直々にお越し頂いた、祓魔師のジオンさんだよ。
此処に来たのは他でもない、実はお連れの方が途中、ちょっとした事故で崖から落ちてしまたそうで……どうやらここに運ばれた彼がそうらしいのだ……」
ロビン君から大体は聞いたが、と前置きして、具体的に容態はどうなのだろうとガゼットは尋ねた。
「何せ今夜が『聖霊祭』だ。本来なら今からすぐにでも打ち合わせをしたい……」
その言葉に、周りの重役たちも頷く。確かに時間はないだろう。
ロビンは父の顔を見上げた。
そうですね、と、すっかり医者の顔になっていた父が、村長と祓魔師を交互に見ながら口を開く。

