「そんなもの、何に使うんですか…?」
「何って。仕事だよ、仕事」
「……土地の浄化に」
「まあな。俺達が相手してるのは、何も瘴気だけじゃねぇし」
コウヤはまだ何か、革袋を探りながら答えた。
薄暗い部屋に、沈黙が下りる。
「それ、どういう意味です?」
ロビンの胸に、ふと疑問が浮かんだ。今の言い方は、まるで、これから何か、するような。
あの銃を使うようなことを。
ロビンの質問に、コウヤは沈黙で答える。
彼は最後に、透明な液体の入った小瓶をいくつかをポケットに入れると、準備は整ったとばかりに、立ち上がった。
「あの、ちょっと……」
「外に行く。仕事だ。俺も色々やることあってね……あんまサボってると、ジオンに殺されちまう」
彼は苦笑して、手を挙げる。世話になったと。
戸口までよろける様子もなく歩くと、そのままドアノブに手をかけた。
「待って下さい」
その後ろ姿を見たとき、ロビンは思わず口走っていた。自分でも驚いた。一体どうして引き留めるのか。
「何」
「……村のこと、分かるんですか? ボクで良かったら、案内しますけど」
自分でも訳が分からなかった。どうしてこんなことを。
けれど、彼を独りで村の住民に合わせるのも、村を探られるのにも抵抗があった。
だったら、せめて自分が。
そんなロビンの心情を知ってか知らずか、コウヤは不思議そうに首を傾げながらも、頷いた。
「じゃあ、村長の家まで」

