青空と銃声


「……有り得ない……」

呻くように呟くのは、認識が、揺らいだから。

この村の支配者である、村長。
あの純血種推進派の村長が、いくら村の緊急時とはいえ、あれ程嫌悪していた『獣混じり』を村に入れたなんて。

しかもその人物は、村の聖域である『要』にも侵入する事になるのである。

今まで村人さえも近づけなかった、場所だというのに。


ロビンの表情を観察していたコウヤが、その瞳を細める。

「……その様子じゃ、お前――ロビンつったけ。ロビンは『獣』じゃないみたいだな」

聞く人が聞けば激怒する事を平然と言い放ちながら、彼はロビンを見据えた。

「……はい。違いますよ。……もしそうなら、この村じゃ暮らせません」

探るような視線を受けながらロビンは、唇を震わせながらも毅然と返した。
そして、どこか辛そうに、自分の異色の、赤茶色の髪に手をやった。

「これは、母親がこの国の人間じゃないからです。……期待させたのなら、すみません」

「いや。何となく、あの村長の態度から予想はついてた。初めて俺を獣混じりだと知った時、すっげぇ目、してたもん。なんつーの? 虫けらを見る目? でも、牙剥いたら怯えたけどな」

その時の様子を思い出したのか、からからと笑うコウヤに対して、ロビンは悲愴に眉を寄せた。