青空と銃声


部屋の中に、その声はやけに大きく響いた。


この国の人間は、黒髪黒眼である。それ以外の色を持つコ・リト人は、三つに分けられる。

突然変異の『獣混じり』。

異国人や、その間に生まれた子供。

神の末裔と謳われる皇族。


そのどれもが異端であるが、中でも獣混じりは、最も忌み嫌われる異相の象徴である。なぜなら、血の濃い者は本当に人間の形をしていないからだ。

短絡的で凶暴。それが純粋種――ヒトの認識だ。実際、凶悪犯罪者の約四割が獣混じりというデータもある。
うとまれ、蔑まれ、つい一世紀前までは公然と『獣狩り』――強制収容所送りが行われていた。

今の所、彼らを捜し出す方法は遺伝子検査しかない。なぜ獣混じりが生まれるのか、その原因は不明ながらも、この国では五歳児検診という制度がある。