音のでない時計がどんどんまわる。 たまに、鳥の声がした。 静かで、不気味な空間が数分間つづく。 「……遥」 ん? 声をだすまえに、後ろからイスごと抱きしめられる。 最近かいだ龍太の匂い。 柔軟剤の、柔らかい匂いのはず。 でも、どうして危険な匂いに感じるの? 「ちょっ…」 腕を振り払おうと体をねじる。 その拍子に、イスが体から離れて、倒れた。