太陽系第8惑星、海王星。

 その名のとおり、人類の科学力によって海の惑星へと変貌した惑星である。

 1%の陸地もないこの星の人々の生活拠点は、海中。

 平貝のような形をしたドーム状の巨大な船を海中にいくつも浮かべると、それに「居住艦」と名をつけ、その中で街や自然を作り、生活を続けている。

 海の中であるとはいえ、居住艦での生活は何の不自由もなく、他の惑星からやってきた人間も違和感を感じることはない。

 人口ではあるが昼と夜の区別がつけられ、1日も正しく24時間と定められていた。

 昼には日が昇り、夜には月が昇る。

 日によって月は満ち欠けを繰り返し、季節ごとに星は見せる星座を変えていく。

 星は海王星の海の上から見えるものを映し出しているため、地球のそれとは大きく配列が変わっているが、地球のように様々な星座が作られている。

 全てを人工でまかなわれた艦の中とはいえ、そこはある意味小さな「惑星」のように完璧な環境であった。

 比較的、海王星の人々の暮らしは豊かであるといえるだろう。

 そして。

 その居住艦のひとつ「居住艦:ラオメデイア」が、今回の物語の舞台である。