アイツに呼び出されたので私は渋々と教室に残っていた。
誰も居ない静かな教室で椅子にすわって待っていると、
アイツが登場した。
予兆もなく急に現れたので慌てて席から勢い良く立ち上がった。
「よ、用は何よ!」
また強かった。
ホントは怖い、
凄く怖い。
だって朝の時よりも、
ずっとオーラが凄いから。
何…言われるんだろう。

恐怖と不安で自然と足が微かに震えるのが分かった。

「ちょっと話したいことがあってね」

「うん…何?」
「俺の裏の顔、
あまり…と言うか、
誰にも言わないでくれる?」
「え?
何で?」
「理由は良いだろ、別に」
「そうだけどさ、気になるんだもん…」
「気にすんじゃねえよ」
―カチン。
いかん、いかん。
込み上げて来た怒りを沈める。
「了解でぇすよッ!」
「もし、守らなかったらお仕置きがあるから」


「…―へ?」


今、何と?
「お仕置きって聞こえたんだけど、気のせい…だよね?」
「当たってるんだけど」
「…」
お仕置き?
「え―――――――!」
「うっせぇなあ」
「何でお仕置き?!」
「そうでもしねぇと守らねぇだろ」
「意味が分かんない!
因みに英語に直すと
I don't know」
「何で英語に直したんだよ」
「頭脳アピール」
「中学生の脳ミソだな」
「脳が若いって事?!」
「どうしたらそうなんだよ!何処までポジティブなんだよ!」
「ポジティブで何が悪い」
「…」

あれ?
「ごめん、どうかした?」

さっきまでちょっと和んだ雰囲気だったのに…
冷たい空気に変わった。

ガシッ!

「え?」
急に手首を捕まれた。
「お前、面白い奴だな」
…?
何、何?
この展開!

「よし、俺はお前が気に入った。俺の彼女になれよ」
はあい?

「何でそうなんのよ!」
「何でだよ?
有り難いことだろうが」
「本当にアンタって
ライオンね」
「そしたらお前はライオンに怯えて強がるネコだな」
「とにかく!
私は絶対に彼女になんかならないんだから!」
「ふーん
じゃあ絶対に俺のにしてやるよ」