次は僕の部屋の左隣になる和哉兄さんの部屋に向かった。

……っとその前に。

僕は自分の部屋からクッションを持ってきた。

――コンコン,ガチャ

「兄さん,入ります。」

僕はベッドに近づいて兄さんの耳元で小声で起こした。

「兄さん。朝ですよ~。」

「う~ん…正樹ぃ。」

――ゴロン

兄さんが寝がえりをうつと同時に僕は素早くクッションを兄さんに投げた。

――ギュッ,ムギュー

「た、助かったァ;;」

兄さんはクッションを力いっぱいに抱きしめた。

兄さんは潤汰とはまた違う寝起きの悪さがある。

潤汰は低血圧でキレやすいタイプだ。

だけど兄さんは目の前のものをなんであっても抱きしめて顔をすりよせてくる。

これだけなら可愛いものの抱きしめる力が半端なく強い。

初めて兄さんを起こした時は骨折れるかと思った。

だからと言って遠くから大声で起こすと般若のような形相で睨みつけてくる。

潤汰を起こすよりよっぽど危険だ;;

「兄さん、もう朝ごはんできてますから早く起きて下さいね。」

「…あぁ、わかった。」

――バタンッ

「ふぅ…今日も何も変わらず平和ですねぇ☆」