もう黒いオーラも見なくなった。
「……行くぞ」
翔君がそう静かに呟き、前へと歩き出した。
それに私と梨理を抱き上げている波留さんも進む。
1階に着き、長いフロアを歩き、入口の前に停めてある波留さんの車に乗り込んだ。
…いつ見ても広い車内。
足を伸ばせるほど広い車内だが、何故か私は伸ばすのに恐縮してしまう。
まだ庶民頭というか…。
「のどかわいたぁ」
梨理が口を尖らせて呟く。
「遊園地着くまで我慢してね」
「やだぁ」
「だめ」
いくら家がお金持ちだからといって梨理を甘やかすことは絶対しないと私は決めている。
常識のない子になったら困ってしまうから。


