よし、と力を入れ、ベッドから降りようと床に足を置いた瞬間、また聞き慣れた声が私の鼓膜に触れた。


「マァマァ~…」


隣に置いてあるシングルベッドから降りる小さな身体。


色素が薄いからか少し茶色みかかったロングの髪の毛、幼いながらに整った顔立ち。



私と翔君の────“娘”。


名前は梨理─リリ─。


まだ2歳で、女の子。


私が24歳、翔君が25歳の時にできた子ども。


結婚式を挙げて、すぐに梨理の妊娠が発覚。


翔君は驚きながら凄く喜んでくれたのを覚えている。