「……ありがとう」


「礼を言うのはこっちの方だよ、翔。お詫びと言ったらなんだが、今使ってるマンションをお前に譲る。好きに使ってくれ」


満面の笑みで言う親父に俺は心の中でため息をついた。


…昔から要らなくなったマンションを何個も貰っているんだからあまり喜べないし…。


だけど、目の前まで楽しそうにしている親父にそんなことは言えず。


俺は一口シャンパンを口に含んだ───。