親父は語りながら思い出し笑いをし、シャンパンを口に含んだ。 「母さんがな、 “あの子は素直じゃないし、不器用だから好きな子が出来てもきっと泣かせるわよ” と楽しそうに話していたよ。…孫の顔も楽しみにしていた」 俺は親父の話に口が開かない。 母さんが俺のことをこんなにも思っていてくれていたなんて知らなかったから。 「……」 「…千春さんを泣かせてないか?」 また、シャンパンを口に含みながら親父は呟く。 …。 泣かせてないつもりだけど、沢山泣かせてるよな…。