──── 全ての理由 ────



「…いよいよ明日だね」


私は隣に座っている翔君に呟いた。


「……あぁ」


翔君も静かに呟く。


広い部屋が静まり返っている。


私はソファーの横の壁に貼ってあるカレンダーを見た。


【10月】


大きく可愛らしい文字でそう書かれてある。


そして今日は翔君の誕生日の前日、12日。


明日はついにやっと契約の最終日である──。