昇は俺を励まそうと声を張って喋る。


「千春ちゃんと喧嘩でもしたのか~」


まさか図星をつかれるとは思わず、俺は黙り込んでしまう。


そんな俺に昇はポカンと口を開けた。


「…え?本当かよ~」


ケラケラと他人事のように笑う昇に苛立ちを覚える。


こっちは千春の怒りの原因を探しているっていうのに。


「何で!何で!」


昇は楽しそうに身を乗り出し俺に言う。


「……昇にはわかんねぇよ」


あまりにも能天気な昇に腹が立ち、声を低くして言い放ってしまった。