「…ハハ」


慌てて前髪を押さえて走る姿に笑ってしまう。


些細な事でも笑えてしまうのは千春だから。


……絶対にもう昨日みたいな思いはさせない。



その為には─…


子どもを産む手段しかないのか?



…俺は絶対に嫌だ。


千春との子どもは、まだ早いが欲しいとは思う。


だけど、今のこの状態で親父に千春との子どもを絶対に渡したくない。


「……絶対に守るから」


だから─…、千春に聞こえないように、そう呟くしか出来なかった───…。