俺は返事をせず、右手を軽く上げて地上へと向かった。 …本当、波留には敵わねぇは。 何て思いながら社員用の自動ドアの前に立つが、案の定開くはずがない。 俺はズボンのポケットから小さなチップを取り出し、ドアにかざした。 ピーッという音と共にドアが開く。 覚悟を決めて、拳を握りながら俺は会社の中へと入り込んだ。 カツ、カツ、とフロアに足音が不気味に響き渡る。 電気にセンサーが付いてるから、真っ暗では無いのだが不気味な雰囲気が漂っていた。