波留の車に乗り込み、親父の会社へと向かった。 この時間はまだ親父は社内に居る。 …母さんが死んでから毎日、夜中は仕事に没頭しているから。 数十分後、親父の会社の地下に入った。 車から出て、社員用の入り口へと向かう。 もちろん、親父専用のエレベーターは使わない。 「波留はどうするんだ?」 運転席から降りようとする波留に問う。 「私は待ってます。何かあったらすぐにお呼びください。絶対に」 こんなに俺に対して真面目に言う波留を見るのはいつ振りだろうか。