無言な俺に波留はハァ、とため息をつく。
「ここから歩きで行くつもりですか?…千春様は…」
「千春は寝てるよ。…てか波留は知ってたのか?千春が男に襲われてるって」
俺は睨みながら波留に言い放つ。
波留は最初から知ってるような口調だったし、正確な判断が出来ていた。
疑う俺に波留は首を左右に振り、『いいえ』と答える。
「なら何故…っ」
「そんなことより、送っていきますよ。私は翔様の付き人ですから」
にっこり笑って言う波留に俺はため息をついた。
…流された気がするけど、今は親父の所に行くのが優先だ。
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