エレベーターを使い、1階に降りる。 真っ暗なフロアを出て、外に出た。 少しひんやりとした風が俺を包み込む。 パッと横を向くと、見慣れた姿が壁に寄りかかり立っていた。 暗闇の中でも誰かわかる。 「……波留か」 いつもの黒いスーツを着て、まるで俺が来るのをわかっていたかのように待ち構えていた。 俺の声に波留は壁から離れ、俺に歩み寄ってくる。 「翔様、旦那様の所に行くのですか?」 ……こいつはエスパーか。