ひょい、と千春の細い体を持ち上げる。
いわゆるお姫様だっこというものだ。
俺の行動に千春は目を見開き、ビックリしているが、そんなのお構い無し。
「こんなところで何を話したって落ち着かないだろう。家に戻ろう」
ポカンと口を開けている千春に俺は説明をした。
実際はきっと震えて歩けないだろうと思ったからだが。
一刻も早く、家へ帰らせてあげたい。
…だけど、問題はこれからだ。
俺は親父と話をしなければならない。
絶対に許さねぇぞ、糞親父。
部屋に着き、玄関で千春の靴を脱がせ、リビングのソファーにゆっくり下ろした。


