無意識に拳を握っていると、目の前に居る男がニヤニヤ笑いながら俺を見る。


「あんたが千春の新しい彼氏?…へぇ~イケメンさんだね」


まるで馬鹿にしたような、今自分のしていることが最低と解っていないような言い方。


俺の中の何かが切れた。


握ってた拳が、男の右頬にヒットしてしまう。


手は出したくは無かったが、今の状況なら誰だって出してしまうだろう。


────好きな女の為なら。


俺は千春がきっと好きなんだ。


自分の想いにやっと気づいた。