「翔様、千春様はどちらにいらっしゃいますか」


見たことのない表情で言う波留に俺は息を飲んだ。


「…地下かもしれない」


確証がないから少し小声になってしまう。


千春が居ないことを何故波留は知っているんだ?


俺はその真実を波留に聞こうと口を開いたが、先に波留の言葉が割り込む。


「…なら、GPS機能を使えばよろしいのでは?」

「GPS…?携帯のか?」

「はい」


俺は、『その手があった』と思い、スーツのポケットから携帯を取り出した。