料理教室を開けるのではないのかというくらい千春は料理が上手だ。 それに色んな食材を利用出来る。 以前、何故そんなに料理が出来るのかを聞くと、 『毎日お母さんと作ってたからね』 と幸せそうに笑いながら答えてくれた。 そんな千春が俺は少し羨ましく思えた。 母さんの記憶なんてほとんどない。 母さんも親父と同じで仕事に命をかける人だったから、家に居たことなんてほとんどなかった。 だから、たまに千春を母さんと重ねてしまう。