下を向きながら慎重に夜道を歩いていると、翔君の背中に思いっきりぶつかってしまった。 ぶつかった瞬間、思い出す。 翔君と初めて出会ったあの出来事を──。 「ご、ごめんね…………」 慌てて翔君に謝り、前を見た時、私は目の前の景色に言葉を失った。 さっきタクシーに下ろしてもらった所。 お昼の時とは全然違う。 街全体がイルミネーションのようなキラキラした世界が今、私の目の前に広がっている。