…だけど、翔君が好きだからと言って、このまま赤ちゃんを産むのは絶対に嫌だ。 このまま赤ちゃんを産んで、おじさんの言いなりになって、そして自分の子どもまでを上げてしまうなんてそんなこと絶対に嫌だ。 …だからこのままでいいの。 気持ちを伝えずに、自分の心の中にしまい込むだけで…。 …ん。 人混みの中を目を凝らして見てみると、両手に食べ物と思われる物を持って歩いてくる翔君の姿があった。 「しょうく─…っ」 立ち上がり、手を振ろうとした時、私は目の前の光景に言葉を失った。