隣のソファーにさっきまで使っていた携帯を投げる。 …この牢獄のような日々をあと、10ヶ月も過ごすのか。 12ヶ月も街の空気を吸えない千春はもっと苦しいだろうな。 でもそれは家族の為。 “家族”…か。 そうやって、誰かのために自分を犠牲にしてきたことがあるだろうか。 千春は─…、強いと思うよ。 あんたは強い。 俺は…、弱いのかもしれない。 フゥ、とため息を付き、俺は寝室に行き、眠りについた。 千春の頭を静かに撫でた後─…。