今になってはわからないことだ。 ───ガチャ あ、翔君帰ってきた! 玄関のドアが開いた音がした。 数秒後、リビングへ入って来たのはほんのり頬を染めた翔君。 「おかえり、翔君」 「あぁ、ただいま」 翔君は疲れた表情をし、ネクタイを緩めながらソファーに座る。 私は何か飲み物を持ってこようとすると突然、手首を掴まれた。 ビックリして転倒するところした。 「翔君?」 掴まれた手から温かなぬくもり。 私の心臓がうるさい。