まさしく悪ふざけ。

アスラはアリスカが勘違いしている事を知っていながら、敢えて彼女との戦闘に応じたのだ。

だが、月が一瞬の隙を突いてアスラの思考の深層を読んだ事により、彼が犯罪組織の人間ではない事は揺るぎない事実として実証された。

「悪趣味ね、アスラ…」

危うく罪もないクラスメイトを射殺する所だった。

ドラグノフを分解してバイオリンケースに収納しながら、アリスカは冷や汗をかく。

しかしこの戦闘で、アスラの『正体』の一端を垣間見る事ができた。

弾丸を触れずして止めるほどの力。

彼もまた、この天神学園の『奇怪な面々』の一人なのだ。

「一体何者なのよ、貴方」

素知らぬ顔で立っているアスラに、アリスカが口を尖らせて言う。