『彼らのようになりたい』

憧れはいつしか、啓太の中で形を変えていく。

『彼らになりたい』、『僕も才能に恵まれた彼らになれればいいのに』

そんな強い想いが、やがて啓太の中で別の人格を形成していく。

そして啓太の中に生まれたのが三つの人格、『ミユキ』『リコ』『リョウタ』。

彼らは啓太の中に息づく『別の啓太』として、その能力や才能を発揮する事ができる。

「だが啓太は勘違いしているんだよ」

リョウタが言う。

「人格は確かに違うかもしれないけど、肉体は啓太そのものなんだ。僕らは人格が入れ替わっているだけで、能力は啓太のものを引き出しているだけ…啓太は自分の事を過小評価しすぎているんだ。彼には本来、僕の医学知識やリコの身体能力に匹敵するだけのものを持っている筈なのに…」

そんな事を呟き、リョウタはアリスカ達に微笑む。

「そろそろ僕はお暇するよ。願わくば…君達のような親友が、啓太自身の才能を気づかせてやって欲しい…僕のほんの我儘だけどね」

そう言ってリョウタの人格は消え。

「…っ…アリスカさん、怪我は平気！？」

啓太の人格が戻ってきた。