天神学園学生寮。

ロシアから留学してきて頼る親類などもいないアリスカは、ここを日本での住まいとしている。

夜。

その部屋で彼女は携帯電話をかける。

盗聴など、他人に会話を聞かれないように細心の注意を払っての通話だ。

「もしもし、アリスカです」

彼女の表情は緊張感すら漂わせている。

「はい、天神学園への転入は無事終えたのですが…実は少々まずい事になりまして…生徒の一人に、私の素性を知られたかもしれないのです」

アリスカが話している電話の相手は、どうやら彼女よりも目上…年齢も立場も…いわゆる上司のような人物らしかった。