きになるあのこ


「なぁ、鏡夜?」


いきなりショタが立ち止まった。
何事かと思って自分も立ち止まる。


「ど、どしたよ?」


まさかまた告白かぁ?
と思った時だった。


「ラブレター主がいる。俺先いくわ。」


と耳元で囁き、階段を上っていってしまった。


え…?


パッと前をむくと、
確かに主はいた。


「お、おはよう。」


と恥ずかしそうに言ってくるラブレター主こと、澤秦雛乃。


「お、おはよ。」


短く挨拶を返す。

それからお互い黙り込み、沈黙が訪れた。


なんなんだぁぁあぁあぁ!!


耐えきれなくなった俺は、
とにかくこの沈黙をどうにかするため、会話を切り出してみることにした。


「どしたの?もう授業始まるぜ?」


すると、澤秦雛乃は、慌てながら、


「ごめんなさい…。あの!!今日の帰り…門の前で待ってます!!」


そう言って、走っていった。

呆然と立ち尽くす俺。


まさかの言い逃げーー!?
エ-(゜Д゜;)-!?


これって強制的に行かなきゃいけない空気だよな…。


俺は、
複雑な感情を抱えながら、
取り敢えず教室へと向かった。