きになるあのこ



「あの…時…。」


俺の頭の中をスライドしてゆく、過去の記憶。


脳裏に浮かび上がってくる、二度と見る事の無い


優しい笑顔…。


胸が締め付けられる。


思い出す度疼き出す。


―癒される事の無い…
  永遠の傷。―



キーンコーンカーンコーン…。


「あっ!!」


気付けば、1時間目が始まろうとしていた。


過去のことを思い出すと時間を忘れる…。


急いで、ショタの後ろの自分の席に座った。


あぁ…今日はついてんだか、ついてないんだか…。


自然とこぼれるため息。


「はぁい!今日は、生物についての勉強をします。」


いつもならここで、ショタにちょっかい出して、
2人で、お決まりの、"クズ先生"こと、葛原(くずはら)ティーチャーの怒声を浴びるとこだが、
どうも今はその気になれない。

いつもと違うことに気付いたクズ先生は、


「どうした?どうした?竜ヶ崎フラれでもしたか?」


などと言い出す始末。


おいおい…。
教室の空気壊すなっつうの(笑)


「ちぃがいますって、俺がフラれるわけないでしょ?」