しばらくして
先生が戻ってきた。


先生は冷たいカルピスを私に差し出した。


『ことみ氏?大丈夫か?』


『あ…』


『ガムも買ったけど…酔いが酷いならもう戻るか?』


優しい口調で私を見つめる先生


先生…

先生…


心配そうな先生の表情に
なんだか無性に泣きたくなった


私はふるふると
小さく首をふる。


『戻りたく…なぃ…』


わがままだよね…

私が酔ってるせいなのに。


だけどまだ…

まだお別れしたくないよ…



そんな私の頭に

先生はぽんと手を乗せた。


そしていつものように
眼鏡を少し中指であげて


『ん…じゃあ進むけど、辛くなったら言えよ?』


『せんせ…』


先生は優しく笑った。


『なんで泣きそうなの?』


『すみませ…ん』


また笑う先生。


先生は私の頬にカルピスを押し当てると、車を発車させた。


先生…


冷たいカルピスで
火照った頬が少しひんやりする。



先生…

先生…


大好きです…