まさか…

こんな事がおこるとは…


助手席に座る自分が
信じられない。


え…

これ現実?


ちらりと先生を盗み見る。


スーツでもジャージでもない
先生。


なんか…
先生じゃないみたい。


今隣にいるのは
黒いパーカーに黒い眼鏡の

普通の男の人だ…。


ハンドルを握るきれいな指


かっこいい横顔…


空はもう暗くなり
街はキラキラ輝きだしている。



本当に…信じられない。




『寒くない?』


ふいに

暖房を調整するのに
こっちに伸びた先生の手。


心臓が飛びはねた。


『だ大丈夫…ですっ』


緊張まるだしの声が
恥ずかしすぎる…


だけど、先生は


『そ?なんかことみ氏薄着だから。』


そう言って
少しだけ暖房を強めてくれた。